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ピルの副作用・胸の張りの原因と対処法

ピルによる副作用に、胸が張るという症状があります。張りに伴って、痛みが出る場合もあります。ただ、なかには胸が大きくなるという嬉しい副効用も報告されています。

しかし、胸が張って痛みまで出てしまうと困りますよね。では、どのくらいの人に胸の張りや痛みが出てしまうのでしょうか。ピルによる胸の張りの原因や対処法などを説明します。

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「ピルの副作用・胸の張りの原因と対処法」のポイントをまとめたよ。

胸の張りは0.1%から20%の女性に起こる

厚生労働省によると、ピルによる胸の張り(乳房緊満感)は、0.1%から20%のピルユーザーに起こるとされています。胸の痛みの発現率は1.0%から12.3%、胸が大きくなったのは0.2%から1.4%となっています。ピルは、女性ホルモンを補充する薬なので、多くの女性が胸に何らかの変化を感じています

乳房の張りや痛みに関する副作用 発現率
乳房緊満感 0.1%~20.0%
乳房痛 1.0%~12.3%
乳房増大 0.2%~1.4%

胸の張りや痛みは、ピルの飲み始めに多くみられる症状です。ほとんどの場合、ホルモンバランスが整えば解消されるので、あまり心配はない症状といえるでしょう。

ピルと胸の張りの関係性は?

ピルと胸の張りの関係性

ここからは、さらに詳しくピルと胸の張りの関係性を紐解いていきます。ピルの服用期間内でも、特に胸の張りが気になる時期や、そもそも胸が張る原因は何なのか、といった疑問を解決していきましょう。

胸の張りが出やすいのは飲み始めの2~3か月

ピルの副作用として胸の張りや痛みが出やすい時期は、ピルを飲み始めの2か月から3か月です。

本来、ピルを飲めばホルモンバランスは安定します。しかし、飲み始めの時期に関しては、ホルモンバランスの急な変化に体がついていけないので、副作用というカタチでさまざまな症状があらわれるのです。

体外からホルモンを供給することによって、脳はホルモンの分泌を減らします。ピルを飲むと、血中のホルモン量が増えるため、体が分泌すべきホルモン量は減るのです。

ピルによって、2種類の女性ホルモン「エストロゲン」と「プロゲステロン」が供給されます。すると、体のホルモンバランスは一定になります。

でも、その変化は、女性の自然なホルモンバランスとは大きく異なっているの。ピルの飲み始めから数か月間は、その変化に体が慣れるまでの期間なんだよ。

胸が張る原因はピルに含まれる成分

ピルに含まれるエストロゲンとプロゲステロンは、どちらも胸の発達に作用するホルモンです。

胸には、乳腺の組織があり、この乳腺が発達すると胸が張り、大きくなります。エストロゲンには、乳腺組織のなかの「乳管」を増やす働きがあります。プロゲステロンには、乳腺組織のなかの小葉にある「腺房」を増やす働きがあります。

エストロゲンとプロゲステロンは、どちらも乳腺を刺激するホルモンです。この2つのホルモンを体外から供給することで、一時的に胸の張りが出る場合があります。

休薬期間に胸の張りが気になる…

ピルの休薬期間やその少し前から、胸の張りが気になるという人もいます。

ピルは、排卵を抑制しているので、通常の月経が起きることはありません。そのため、月経痛やPMS(月経前症候群)も緩和されます。月経の代わりに、子宮内膜の壁がはがれて排出されるだけの「消退出血」が起きます。この消退出血は、出血の量が少なく、期間も短くなるのが一般的です。

しかし、月経痛やPMSがまったくなくなるというわけではありません。ピルの効き目には、個人差があります。ピルを飲んでいても、もともと症状が重い場合、すべてが改善されるわけではないのです。

ピル服用前からPMSの症状として胸の張りがあった場合、ピルを飲み始めても同じ症状が出る可能性があるよ。

病気の疑いは?バストアップする?

胸の張りや違和感が長引くと、なにか病気ではないかと心配になってしまいますよね。

胸の張りや痛みの症状から疑われる病気はあるのでしょうか?また、ピルを利用することでバストアップは可能なのでしょうか?胸の張りのネガティブな側面とポジティブな側面を見てみましょう。

【ネガティブな側面】胸の張りや痛みで疑われるのは「乳腺症」

胸に違和感があったり、少し張ったりする程度のことはよくあります。過度に病気を心配する必要はありません。とはいえ、胸の張りや痛みが長く続くと、気になってしまいますよね。そこで、乳房の症状として多く見られる「乳腺症」について紹介します。

胸の張りや痛みに加えて、しこりがある場合、乳腺症の可能性があります

乳腺症になると、胸に弾力のあるしこりがいくつもできます。とはいえ、乳腺症のしこりは良性なので、重大な症状ではありません。月経前に痛みが出て、月経がくると痛みが引くというのも特徴です。症状がひどくなると、月経の周期に関係なく痛みが出るようになります。

乳腺症は疾患ではありません。正確には、「正常からの逸脱」と考えられています。病気ではないので、すぐに治療や手術を要するわけではありません。基本的には、定期検診などを受けながら経過観察となります。それでも痛みがひどい場合は、ホルモン療法を行います。

乳腺症と診断されたとしても、まだ大きな病気になったわけではないから、あまり心配しないでね。

乳腺症と乳がんのしこりは違うの?

乳腺症とよく勘違いされるのは、乳がんです。

胸にしこりができるといえば、どうしても乳がんを連想してしまいますよね。しかし、乳腺症と乳がんはまったく別物です。乳がんのしこりは、乳腺症のしこりと違い、ほぼ痛みがなく硬い悪性のしこりです。そして、乳腺症になったからといって、乳がんになりやすくなるということはありません

乳腺症と乳がんの違いを、自分で見分けるのはとても難しいことです。ただし、ピルを飲むことで、乳がんになる確率は通常より上がると言われています

胸に違和感としこりがあれば、なるべく早く病院で診察を受けようね。

【ポジティブな側面】ピルでのバストアップは一時的なもの

ピルには乳腺を刺激するホルモンが入っていることをお話ししました。そうなると、ピルを飲んでいるとバストアップができるとも考えられます。実際に、ピルを飲み始めてから胸が大きくなったという声もあるのです。

しかし、バストアップのためにピルを飲むことが正解かというと、そうではありません

あくまでバストアップは副効用であり、メインの目的ではありません。

ピルはバストアップのために作られた薬ではないので、必ず効果があるとも限りません。ピルを飲んで胸が大きくなったと感じている女性は、たった1%ほどです。いったん大きくなっても、その多くは一過性のものであり、数か月でその効果は失われます。ピルを飲んでいる間は効果が続いていたとしても、ピルをやめると元に戻ってしまうでしょう。

ピルの本来の目的は避妊や月経痛の緩和だから、バストアップを期待して飲むのはやめようね!

胸が張ってつらいときの対処法

ピルが原因であれば、多くの場合は2か月から3か月で症状は治まるので、様子を見てもよいでしょう。けれども、胸の張りに加えて痛みも伴うなど、あまりにも症状がひどい場合は、病院に行くべきです。

ここでは、胸の張りの症状が治まるまで、自宅でもできるケアを4つ紹介します。

【自宅でできるケア1】血行を良くする

血流が悪いと、リンパが詰まって胸が張りやすくなってしまいます。体を冷やさないようにしたり、マッサージをしたりするなどが効果的です。

マッサージは胸の周りを、円を描くように優しくほぐしてください。また、胸の周りのリンパである、わきの下や鎖骨、首などもマッサージして流れを良くしましょう。

【自宅でできるケア2】食事に気を付ける

脂肪分の多い食事やカフェインのとりすぎは、胸の張りを悪化させます。

動物性の脂肪分の多い食事は、プロゲステロンの活動を活発にし、胸の張りを促進させる可能性があります。カフェインは血管を刺激するので、胸の張りを感じているときにとりすぎるのは良くありません。バランスの良い食事を心がけ、ナッツや海藻などを積極的にとるようにしましょう。

【自宅でできるケア3】下着を変えてみる

胸が張っているとき、無理に締め付けてはいけません。普段の下着では苦しいほどに張ってしまっているのであれば、大きめのサイズの下着をつけてみましょう。

ノンワイヤーブラやスポーツブラは締め付けが優しく、なおかつ、しっかりと胸を守ってくれるのでオススメです。

【自宅でできるケア4】ストレスを減らす

ホルモンバランスを整えるには、精神的な面も重要です。どんなにケアを頑張っても、ストレスによって症状が改善しないこともあります。

ストレスを溜めないために、アロマの香りでリラックスしてみてください。湯船につかりながらアロマの香りを使えば、血行も良くなって一石二鳥です。適度な運動も取り入れて、心と体をスッキリさせましょう。

胸の張りが軽い症状なら、まずは紹介した対処法を試してみてね!それでも改善されなければ、すぐに病院で相談しよう。

胸が張りにくいのはシンフェーズやアンジュ

ピルは、種類によって成分が違うので、それぞれで出やすい副作用も異なります。胸の張りに関係する副作用が、それぞれのピルでどのくらい出たかを集計してみたのでご紹介します。

表は、6種類のピルごとに、副作用の調査症例数、そのなかで胸の張りや痛みに関する副作用が出た件数と、出やすさ(発現率)を示しています。

集計方法は、各低用量ピルのインタビューフォーム 副作用の項目から、胸の張りや痛みに関する副作用(乳房障害、乳房腫大、乳房腫脹、乳房痛、乳房不快感、乳房緊満感)の症例数だけを集計しています。

ピルの種類別における胸の張りや痛みの発現率グラフ

上のデータから、一番胸の張りや痛みが出やすいのは「オーソM」であるといえます。胸の張りに関する副作用は、オーソMやヤーズといった、1相性のピルで起きやすいと考えられます。

反対に、胸の張りや痛みが一番出にくいのは「シンフェーズ」です。シンフェーズやアンジュといった3相性のピルは、胸の張りに関連する副作用の発現率が低くなっています

胸の張りを少しでも軽減したい人には、シンフェーズやアンジュがオススメだよ!

胸の張りの不安は解消しましたか?

ピルには、胸が張る副作用があります。通常、2か月から3か月で治まる副作用なので、様子を見ても問題ないでしょう。

ピルを飲んでいなくても、多くの女性が経験したことのある生理現象なので、あまり心配しなくても大丈夫です。自宅でもできる方法で、胸の張りが少しでも楽になるようにケアしましょう。

ただし、しこりがあったり、痛みがひどかったりする場合には、いちど病院で診てもらう必要があります。

ピルが原因で胸の張りがひどい場合、いったん服用を中止するか、ピルの種類を変えることを検討してみてください。

参考文献・参考サイト

ピルの副作用・胸の張りの原因と対処法は、以下のサイトや資料を参考に作成しました。

  1. 参考:経口避妊薬(OC)の安全性についてのとりまとめ / 厚生労働省
  2. 参考:妊娠のメカニズム 避妊ピル / 吉祥寺ビューティークリニック
  3. 出典:乳房の構造 / 精美スキンケアクリニック【東京】
  4. 参考:シンフェーズ T28 錠 インタビューフォーム / Pmda:クリックでPDFダウンロード(1.47MB)
  5. 参考:アンジュ21錠 ・ アンジュ28錠 インタビューフォーム / Pmda:クリックでPDFダウンロード(1.10MB)
  6. 参考:マーベロン21 ・ マーベロン28 インタビューフォーム / Pmda:クリックでPDFダウンロード(1.35MB)
  7. 参考:トリキュラー錠21 ・ トリキュラー錠28 インタビューフォーム / Pmda:クリックでPDFダウンロード(1.41MB)
  8. 参考:ヤーズ配合錠 インタビューフォーム / Pmda:クリックでPDFダウンロード(3.08MB)
  9. 参考:オーソM-21錠 インタビューフォーム / Pmda:クリックでPDFダウンロード(1.8MB)